四国全山縦走(東側) 平家平~剣山

最後は笹でなだらかな剣山に全員で登頂することができた。バンザーイ!!

山行情報

日時:2025/04/26 ~ 2025/05/03 天候:晴れ、雨
ランク:C-D-11:45 参加:5名
山行担当:CL3564 SL3489
記録担当:文責:3811 写真:3811

コースタイム

1日目
新居浜東横イン前6:30…7:30登山口…10:02三ツ森山10:12…11:54鉄塔広場12:15…13:40大座礼山13:46…15:02大田尾越15:23…15:58泊地(泊) 歩行時間:7時間30分/休憩時間:58分/合計:8時間28分
2日目
泊地5:13…6:34東三ツ森山6:40…7:30別子山7:38…10:35滑車台跡10:44…11:16野地峰12:26…13:24黒岩山13:34…17:02大登岐山17:23…18:24泊地(泊) 歩行時間:11時間7分/休憩時間:2時間4分/合計:13時間11分
3日目
泊地5:05…5:54兵庫山6:00…8:54玉取山9:00…12:00大森山12:20…13:03佐々連尾山13:10…13:33中川峠13:34…14:46泊地(泊) 歩行時間:9時間1分/休憩時間:40分/合計:9時間41分
4日目
泊地5:22…7:49カガマシ山8:04…9:12橡尾山9:18…11:35笹ヶ峰11:47…13:10三県境13:21…14:25林道出合14:34…16:25野鹿池避難小屋(泊) 歩行時間:10時間10分/休憩時間:53分/合計:11時間3分
5日目
泊地5:02…7:35黒滝山7:56…8:00三峯示山8:10…9:15 1196ピーク9:25…10:30林道10:40…13:20土佐岩原駅13:40…14:00たかもとや(泊) 歩行時間:8時間7分/休憩時間:51分/合計:8時間58分
6日目
泊地5:09…5:32岩原神社5:38…9:20山姥の池9:34…10:05三方山10:16…11:10弘瀬山11:25…12:50京柱山13:01…14:00分岐14:10…15:50土佐矢筈山16:00…16:49矢筈峠(泊) 歩行時間:10時間23分/休憩時間:1時間17分/合計:11時間40分
7日目
泊地7:51…10:20綱付森10:26…11:25分岐11:32…13:02地蔵の頭13:08…14:00西熊山14:12…15:58三嶺ヒュッテ(泊) 歩行時間:7時間36分/休憩時間:31分/合計:8時間7分
8日目
泊地6:04…7:12カヤハゲ7:20…8:05白髪山分岐8:11…8:40白髪避難小屋8:52…10:52中東山分岐10:58…12:20丸石避難小屋12:38…13:00丸石13:06…14:29次郎笈14:32…15:20剣山15:26…16:00リフト西島駅16:04…16:22見ノ越 歩行時間:9時間9分/休憩時間:1時間9分/合計:10時間18分

山行記

1日目

四国全山縦走は、四国東西を貫く250kmの四国山地のほぼ全てを歩く超ロングトレイルだ。東部の最高地点は剣山1,955mで、山頂部は笹原に覆われたなだらかな山容を成している。また、西方に位置する石鎚山1,982mは急峻な岩峰を持ち、この二座が四国山地を代表する山だ。昭文社の「山と高原地図」は、2022年から「四国山地横断トレイル」として両山域がつながるような構成となった。今回の山行はその東半分、四国中央部の愛媛県新居浜市から徳島県剣山まで100km超を歩く。中間部の山々は縦走情報が少なく、水場の水の有無、ヤブ漕ぎ、道迷いなど不安もあったが、CLのMさん、SLのHさん、健脚のOさん、Kさんとで期待に満ちた出発となった。

朝6時半、新居浜駅前のロータリーに予約したジャンボタクシーが現れた。小さい。前後三列シートで、5人は乗れるものの巨大なザックが乗せられるのか? 不安がよぎるも後部に2つ、座席に3つ持ち込み、無事に出発。途中、別子銅山の遺構を眺めつつ、三ツ森山登山口へ到着。当初、住友フォレスターハウスから平家平経由で三ツ森山へ向かう計画であったが、途中の橋が崩落との情報を得たため、直前で登山口を変更した。

登山口からは木漏れ日の中、林道を進む。三ツ森峠下の水場は水量が多かった。この先の野地峰の水場が枯れている可能性もあるため、できる限りの水を担いで行く必要がある。共同装備で水担当の私は5L汲んだが、CLが6Lと言う話を聞いて慌てて3Lを追加。重い。三ツ森山へは急登だが、アケボノツツジがとてもかわいらしく、きつつきのノッキングの音が響く。大座礼山の山頂を踏み、この日はスピードが上がらず、想定より大分手前の大田尾越先のルート脇にテント泊。誰にも出会わず。



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2日目

朝5時出発。わずかな踏み跡とピンクテープ、ヤマレコ、県境杭を頼りに尾根沿いに進む。東三ツ森山の登りはキツイ。朝から天気は良く、稜線はとても暑い。滑車台跡を過ぎ、野地峰手前で初めて登山者とすれ違う。野地峰の水場は、地図にはなくネットで調べた情報だ。Oさんと共に尾根を南側へ15分ほど下ると、沢水を汲むことができた。明日の猿田峠の水場も地図にはないので、念のため水は満タンだ。

黒岩山、下川峠を越えると、地図にも「ササ漕ぎ」とあるように笹が密集している。少し間隔が開くと前の人が見えない。踏み跡らしきを辿ると途中で行き止まりが多々あり、そこを進むのは困難を極めた。笹をかき分け、潜り、岩稜にしがみつき、急登をヘトヘトになりながら、大登岐山の山頂へたどり着いた。眺めは最高! すでに、出発してから12時間経過している。日が暮れる前に山頂下のルート脇にテント泊。



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3日目

朝5時出発。昼過ぎから雨予報なので、岩稜帯を雨の前に抜けたい。6時、兵庫山到着。山頂には、「石鎚・剣山系縦走記念、1971年12月21日~1972年1月5日、高松一高山岳部OB・OG会」のプレートがあった。50年以上前の真冬で、さぞ過酷だっただろう。その先、玉取山までは岩と痩せ尾根が続く。玉取山周辺は苔が群生し、お手玉ぐらいのコロコロとしたものが足元でたくさん出迎えてくれた。これが山の名前の由来だろうか?

猿田峠では、女性陣が登山道を下り水を汲んでくれた。水量は多くない。明日夕方の水場も地図にはないので、念のため水は満タンだ。ここで、いよいよ雨が降り出した。岩場の梯子、霧に巻かれた大ブナの木々の間を通り、中川峠到着。「峠の地蔵」以外に何もなく、先を急ぐも踏み跡が一切ない。ヤマレコだけを頼りに急登を進む。雨の中疲れもピークになり、この先テントが張れるような場所もなさそうなので、本日は早々にテント泊。



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4日目

朝5時出発。一晩中降った雨は撤収時にはやみ、霧モヤの中を出発。目印、踏み跡がほとんどなく、ヤマレコを使うもルート上の尾根の先が断崖の際は、全員で左右にルート探しをしながら進む。とにかく山の懐が深い。

橡尾山を過ぎてしばらくすると、青空ものぞき笹ヶ峰へ到着。ハイカーに会う。ここは土佐藩の参勤交代のルートで、当時は休憩所があったとのこと。さぞ難儀したことだろう。その後は、ピンクテープ、県境杭を見つけ、安心して歩く。立派な登山道である。三県境を下った林道出合で水を汲む。野鹿池山の水場も地図にはないので、念のため水は満タンだ。当初ここでビバーク予定であったが、翌日の行程が長いため登山道と並行する林道を進めるだけ歩きビバークすることとした。

速足で歩きながらも、Hさんの目はタラの芽を見逃さない。大収穫だ! 皆でキョロキョロしながら順調に進み、予定外の野鹿池避難小屋まで辿り着いた。野鹿池山の水場はまさかの、枯れていた! 小屋の直前で重いから水を捨てようかとの話も出たが、担いできて正解だった。濡れたテントを乾かして、快適な夜を過ごした。



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5日目

朝5時出発。快適な尾根歩きが続く。三峯示山を過ぎたところで大休憩。枯れ葉の上に寝転がり、青空を眺める。その後、きつい下り坂を進み林道を下る途中、道に迷う。登山ルートはあまり歩かれていない様子で荒れている。迂回ルートはくねくねしており、意外と時間を要して、土佐岩原駅に到着。

宿泊予定のゲストハウス「たかもとや」に車で移動し、久しぶりの入浴、洗濯をした。高台の古民家の1軒借りだ。家主のおじいさんがいろいろと昔話をしてくれた。Kさんはズンバダンスなるものを披露。Mさんはシイタケ収穫を手伝い、調理法を教わり皆でいただいた。「うんまい!」。山の冷たい天然水が軒先に引かれている。これでリフレッシュ! 後半も頑張るぞ!



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6日目

朝5時出発。岩原神社の石畳階段はかなり厳しい登り。長い階段の上の方は、切り立った壁のように見える。水は満タンである。なんとか登り切ると登山道が分かりにくい。伐採地からは、吉野川と土佐岩原の集落がジオラマのように見える。岩稜帯が終わると、次に有棘植物の藪が待ち構えていた。いつの間にかルートを外れ、棘だらけの中に入ってしまった。棘の幹をつかまないよう注意し、いばらのつるをよけながら進んだ。

無事に脱出すると急峻な上り下りが待っていた。三方山、弘瀬山と進み、京柱山手前で登山者一人とすれ違い、京柱峠到着。事前情報通り、水場はなくなっていた。その先、小檜曽山手前から見通しの良い笹の尾根歩きとなった。強風で身体が傾くのを、踏ん張りながら進む。その時だった。前方に黒い動物!「熊!?」。こちらの気配に気づき、走り去っていった。

矢筈峠には、こんこんと湧き出る豊富な水場があった。夜半に雨が降り出し朝方に上がる予報のため、出発時刻を遅らせることとし、水場近くにテント泊。



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7日目

日付が変わるころから激しい雨。幸いテント撤収の7時に雨はピタリとやんだ。テントだけでなく、いろいろ濡れて重い。熊注意の看板を横目に、あまり人が歩いた様子がないルートを進み、展望の良いという綱附森へ。

その後、笹漕ぎ、急登を超え地蔵ノ頭へ。稜線は、物凄い風が吹いていてめげるが、天気は青空ものぞき良好。長い登りと強風で疲れもたまり、白髪避難小屋の予定を変更し、手前の三嶺ヒュッテに宿泊することとした。ヒュッテの池の畔には、雪渓が残っていた。四国とはいえ、夜は冬山に準じた防寒が必須だ。中にはすでに7人ほどいたが、二階建てでマットや毛布も借りられて、とても快適な避難小屋だった。



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8日目

朝6時出発。当初予定していた剣山は、到着後の最終バスに間に合わないため、手前の丸石避難小屋をめざすこととした。外は晴天。三嶺(みうね)の山頂からは、昨日まで歩いてきた尾根がずっと続いて見える。鎖のある急坂、三嶺の天狗岩を下ると快適な尾根歩きが続く。

白髪避難小屋の水場は、急坂を下ったところにあった。今日最後の水場なのでたくさん担ぎ上げる。眺望の良い笹原を通り、高ノ瀬を超えると丸石避難小屋だ。時刻は12時を過ぎたところ。泊まるには早い。剣山頂のテント場が一杯でも、バス停のある見ノ越まで下って最悪、駐車場にビバークすれば朝のバスに乗れる。作戦会議の中、ギリギリの電波でダメもとで簡易宿泊所へ電話するも満室、民宿へかけたところ空きが有り予約。一安心して先に進む。

この辺りはハイカーが多い。尾根のずっと先にある次郎笈は、大きくどっしりとした山だ。トラバースルートに水場がある。最後は、笹でなだらかな剣山に全員で登頂することができた。バンザーイ!! 8日間、100km超にわたるロングトレイルで、四国縦走路の山懐の深さ、魅力を学び一生忘れられない素晴らしい経験ができた。

【CL追記】 

厳しいながらも、とても楽しい山行でした。ルートファインディングと水の有無がポイントでした。事故、病気などなく、無事に下山できたことに感謝し、ここに報告いたします。



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