沢のステップアップ研修①②

へつる。ドボンもまた楽し

山行情報

日時: 天候:研修①晴れ 研修②晴れ
ランク:研修①D-A-1:00 研修②D-C-7:30 参加:研修①10名 研修②14名
山行担当:CL3623 SL3606, 3846, 3339
記録担当:文責:3907, 3977 写真:3907, 3846, 3339

コースタイム

研修①:2025/6/22
本厚木駅 08:30…08:50厚木青少年広場 (相模川三川合流地点河川敷)14:15…14:35本厚木駅
研修②:2025/7/27
玄倉駐車場 08:21…新青崩隧道 (トンネル)09:45… 09:50入渓点(河川敷)10:10…10:45 モチコシ沢・大滝 11:10… 12:40 玄倉ダム 12:50… 13:10 モチコシ沢・出合 14:10… 14:10 脱渓点(河川敷)14:40… 新青崩隧道 14:50… 16:00玄倉駐車場

コースマップ

記録日:2025/07/27

山行記

研修①(2025/6/22)

梅雨入り前から雨天の続いた今年の沢のステップアップ研修1日目は当初の日程を延期し、6月22日に開催された。猛暑シーズンに突入したばかりで、朝から気温30度を超える中、相模川下流の河川敷に10名が集まった。

私は今年の沢教室卒業生にもかかわらず、基本を忘れているという杜撰なありさま。基本のロープワークに十分時間をかけていただき、クローブ、ムンター、シープシャンクを徹底マスターした。

続いて、支点とフォロワーのビレイシステム構築を、新たに導入したシープシャンクを利用して実習した。沢山行でリーダーに何らかの故障があっても、メンバーで安全を確保しながら移動する非常に重要なスキル学習だった。普段の沢山行でよく使用するゴボウやケーブルカーなどの登攀技術は、意外にも沢教本などに使用目的が解説されていないので、コーチの皆様の実践的な解説が分りやすかった。

最後に懸垂下降の応用。しっかりしたアンカーのあるクライミングゲレンデとは異なる沢環境の中で、ロープを絡ませないさまざまな工夫を織り交ぜた懸垂下降を実習した。おまけに古いクライマーに利用されたデバイスなしの肩がらみ懸垂を体験する余裕もあり、最後は猛暑の中で乾いたノドを本厚木の繁華街で潤して締めくくった。(文責:3907)

研修①②(2025/6/22・2025/7/27)

今年も2回のステップアップ研修に参加させていただいた。1回目は沢で必要なビレイ、懸垂下降などの練習だ。場所は本厚木駅に近い相模川河川敷多目的グランド付近の河岸(斜面)。アクセスもよく適地だ。

沢登りでの登攀は、岩壁でのクライミングとは違い、基本、人工の支点はない。その場にあるものを利用しての臨機応変な対応が必要になる。もちろん、安全であることは絶対条件だが、スピードも要求される。ムンターの他に肩がらみ、腰がらみ。また、落ち口ビレイ、ケーブルカー、1本のロープでの2人懸垂下降などを教わった。

この日、一番記憶に残っているのは、シープシャンクという結び方だ。ロープを支点にかけたり、中間に結輪するときに、荷重で結び目が締まって解き難くなることがある。でもこの結び方でやると簡単に解けるのだ。CLのIさんが研修を受けたり、自分で研究を重ねてたどり着いた結び方だという。なるほど、結び目は締まらない。是非使ってみたいと思った。注意すべきは1点、この結び方はロープを倍以上必要とするので、長くとらないとやり直すことになるのだ。

2回目はへつり、徒渉、泳ぎの練習だ。玄倉川中流で、積極的に水に入っての遡行となった。出発は玄倉バス停横の駐車場からだ。1時間半近い林道歩きが辛い。新青崩隧道の左の旧道に入り、倒木の山を越え、旧隧道手前から河原に下った。靴に蛭が上がってくるから要注意だ。

広い河原で身支度し、いよいよ遡行開始となる。ゴーロを行き巨岩帯に入っていく。途中、左から流れ込んでくる支流の先に大滝が見えた。モチコシ沢大滝(50m)だ。その見事さに、全員で直下まで行ってみた。2段の滝は垂壁に近い。残置支点も見当たらず、岩がヌメリで光っている。右横の土壁は、急斜面に腐りかけたロープが垂れ下がっていた。高巻きも命懸けだなあ…。そんなことを話しながら、また本流に戻った。

深い渓谷は、白を基調とした岩床だ。その上を流れる水は透き通っていて、釜や淵は深くて蒼い。何とも美しい光景だ。   

へつりは足がつかない深さだから、岩壁から剝がされないよう慎重に進む。水中の岩を足で探ると意外と乗れる。泳ぎとしては、小さな岩の隙間にハンマーをひっかけて進むヤツメウナギ泳法も練習した。また、先頭がロープをつけて泳いで突破し、ロープにつながれた後続を引き寄せるザックピストン法(通称プカリ)も皆で練習した。ザックは浮きだ。1人、2人、まだいけそうだの声に3人目で私が繋がった。進みだすと、あれぇ?みるみるザックが沈んでいく。うわあ!!瞬間、身体が反転してザックをおなかに抱えての背面蛙泳ぎになっていた。何ともかっこ悪いが浮力はある。原因は、スカスカザックの口を締めなかったことだ。雨蓋との隙間から侵入した水が空気を追い出してしまった。

一通り練習したのち、昼食タイムだ。身体が冷えていたので、食後は太陽で温まった大岩の上で甲羅干しを楽しんだ。ゆったりした時間が流れる。空が蒼い。いい天気だ。その後、玄倉ダム手前から林道に上がって、ユーシンブルーを鑑賞した。コバルトグリーンに近い、何とも神秘的な色を目に焼き付けて、 川中に戻った。 

河原手前の緩い流れまで戻ったところで、残っていた課題である徒渉訓練をした。スクラム徒渉は説明程度で、激流のときの徒渉法である振り子徒渉、三角徒渉を繰り返しやった。装備を解いてまた林道に上がり、帰路についた。下りだったためか40分程度で駐車場についた。面白かった。ためになった。実際の沢登りでも生かしたい。ありがとうございました!(文責:3977)

【CL追記】

毎年3月に行っている沢教室は、フォロアーとして初級程度の沢山行に参加できる知識と技術を獲得することを目標としていますが、本二回の研修はリーダーとして、あるいは自分たちで沢山行を実施するにあたって必要となる知識と技術の基本を獲得することを目標としました。

1回目は、ロープワーク、支点構築、ビレー、登攀・補助、懸垂下降です。今回の研修は繰り返し練習して確実に使えるようにしてほしい。また、どんな道具や方法も長所・短所がある。それらを十分理解し、状況に応じて柔軟に適用したいものです。

2回目は、へつり、泳ぎ、徒渉が大きなテーマです。沢はチームワークです。一人ですべてができなくても、泳ぎが得意な者は先行して泳ぎ、岩登りが得意な者はリードで登り後続をロープで引く。

本研修においても、退任したリーダーにもご協力いただき実施することができました。リーダーに限らず、会員の中にはさまざまな知識・経験をお持ちの方がいらっしゃるようです。そうした見識を集約して、より充実した研修としていきたい。



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