谷川岳マチガ沢(雪山)

マチガ沢出合。天気よく雪訓日和。気温高めで雪ぐずぐずだけど

山行情報

日時:2025/04/05 ~ 2025/04/06 天候:晴れのち曇り/一時雨
ランク:D-D-1:00 参加:12名
山行担当:CL3420 SL3626
記録担当:文責:3930 写真:3785, 3853, 3930

コースタイム

1日目
海老名駅7:00≡10:40谷川岳登山指導センター11:40…12:15マチガ沢出合15:30…16:00谷川岳登山指導センター(泊) 歩行時間:1時間/訓練時間:3時間15分/合計:4時間20分
2日目
泊地5:30…6:10マチガ沢出合13:30…14:00谷川岳登山指導センター 歩行時間:1時間/訓練時間:7時間30分/合計:8時間30分
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山行記

1日目

当初は海老名駅に13時集合の予定だったが、参加者全員の集合時間変更が可能であったことから、7時集合に。宿泊地に予定より早く着いたあと、のんびりする時間のあることを期待して車に乗り込む。

宿となる谷川岳登山指導センターに到着後、さっそく雪上訓練の準備を指示される。淡い期待は、一気に吹き飛ぶ。参加者は上級者揃いで、ハーネス、スリング類の装着も早く、ちょっと焦る。ハーネスをつけたあと、雨具を履いていなかったなどというミスは許されない。

登山指導センターから上部に続く道路は雪に埋まっており、建物の裏からすぐに急登の雪上歩行となった。ここ数年の中では、雪は多いようだ。雪は緩んでおり時折、踏み抜く。谷川岳マチガ沢は雪崩の起きやすい状況だが、雪上訓練の場所は比較的安全な場所とのこと。とは言え、訓練場所まで行く途中には、CL曰く、数日前にはなかったデブリがあり、見上げると大きく張り出した雪庇が見える。それぞれ間隔をあけ、上部に注意しながら慎重に歩く。あの雪庇がいつか必ず落ちてくると思うと、自然と足早になる。 

雪上訓練のスタートは、基本となる歩行からだ。キックステップを使い、登り下り、トラバースを何度も繰り返す。CLからの「ビブラムで雪を噛むんだ」との言葉は、スッと入って身体も反応する。その後、アイゼンを装着して同様の歩行訓練を行う。

この日の最後の訓練は、雪崩埋没体験だ。木の根元の雪面にできた空洞を利用して、数名の希望者に雪の中に完全埋没してもらう。埋没者は、口と鼻を手で覆い空洞に横たわり、他の人がスコップで雪を被せていく。雪の圧力で足元からどんどん重くなり、身動きが取れなくなる。スコップを握る人は、なにやら楽しそうだ。ついに頭まで埋没する。息苦しくはあるものの、話もできる。今回は10cmほど埋まっただけだが、実際は1m以上埋没することもあり、口元の空間確保がどこまでできるかは分からない。しかし書籍などで紹介されているこの方法の有効性を確認できたことは、貴重な経験となった。 

夕食は、共同で湯を沸かし、各自で準備した食事をする。そのまま宴会のようになり、テーブルごとで山談議に花が咲いた。 



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2日目

2日目のスタートも歩行訓練から始まる。朝一の歩行訓練はきつかったが、谷を吹き抜ける心地よい風に救われる。雪上歩行で登りきった斜面から、他の団体が続々と登ってくるのが見える。流石、雪上訓練のメッカだ。

続いて滑落停止の訓練。通常の滑落停止に加えて、ピッケルを使わない滑落停止も教わる。緩んだ雪だが、皆なかなか止まらない。恐らく誰も止まっていなかった。

続いてロープを使ってパートナーを確保する訓練だ。腰がらみ、肩がらみ、スタンディングアックスビレーの順で行う。実はこの技術、学生時代に習ったことがある。腰がらみ、肩がらみは、滑落者を一気に止めると、ビレイヤーの身体がもっていかれるので、ロープを滑らせ身体との摩擦で止める。

肩とロープが擦れ合うシュルシュルという音を聞きながら、一瞬ノスタルジーに浸る。CLには怒られるかもしれないが、今回の訓練で一番楽しかったのは、この時の滑落者役だった。ビレイヤーが熟練のSLということもあり、思い切り滑落させていただいた。たまに「滑落!」という声もかけずに黙って落ちてみた。もちろん、見事に止めていただいた。 

懸垂下降のアンカーを、自らストックで構築して下降した経験は自信になった。 SL が構築した木の枝のアンカーで恐る恐る懸垂下降してみたが、その強度に驚いた。本番で使うのは、きっと勇気がいるだろう。その他にビーコンを使った雪崩捜索訓練などを行い、締めは、やはり今山行3回目の歩行訓練となった。 

今回の雪山歩行訓練に参加したのは、新リーダーとして雪山世話役会に所属することになり、改めて雪山歩行技術を確認したかったからだ。2日間に渡る訓練は、徹底した歩行訓練、ロープワークを含む幅広い内容、そしてリーダーとしての心得を伝授され、期待以上のものとなった。このような場を設けていただいたCL、SL、そして参加者にも感謝したい。 

【CL追記】 

2日間たっぷり練習でき、良い訓練となった。雪上歩行練習は、歩いた分だけしか上達しないので、何千歩何万歩と練習しよう。その時の体力に応じた歩き方を確認するため、毎年行うと良い。滑落停止より、転ばない歩き方の練習が大事だ。 

今年は、コンティニュアスビレーを初めて行ったが、皆よく止まっていた。しかし、本番ではやらないで。失敗したらアウトだから。確実なことをやって、生きて帰ることが登山です。 



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