谷川岳・堅炭尾根(プチバリ)
山行情報
日時:2025/09/21 ~ 2025/09/22 天候:曇り一時雨・晴れランク:C-C-12:00 参加:3名
山行担当:CL3632 SL3418
記録担当:文責:4010 写真:3632, 3418, 4010
コースタイム
1日目
谷川岳RW駐車場15:00…15:10谷川岳登山指導センター(泊)
2日目
泊地4:20…5:55中芝新道入口6:05…6:45大岩…7:40堅炭尾根末端付近…11:45一ノ倉岳12:00…12:55トマノ耳13:10…14:30天神平RW 行動時間:10時間10分(休憩含む)
コースマップ
記録日:山行記
1日目
天気予報が思わしくなく、予定を一日ずらして出発することに。谷川岳登山指導センターでの前泊で、共同食の鍋を囲み山談義。ベテランのお二人から、百名山、沢登り、クライミング、マルチピッチ、ヒマラヤ、イタリア、インドなど多岐にわたる興味深い山々のお話を聞けた。ときおり雨音がして明日の天気を心配しつつ、早めに就寝する。
2日目
予定をずらして、結果としては良かった。
起床して空を見上げると、谷川岳の空は星空。空気はひんやり澄んでいた。4時15分ごろ、まだ夜の気配が残る登山指導センターを出発。一ノ倉沢まで国道291号線を歩く。ヘッドライトの光の中、静まり返った山肌に期待と緊張が混ざる。3人とも口数少なく、顔には眠気よりもワクワクが滲んでいた。
取り付きに到着。ヘルメット、ハーネスなど必要な装備を身につけ出発。廃道になって8年、登り初めは踏み跡がうっすら残っていたが、あっという間に消えた。足元から腰までの熊笹が行く手をふさぐ。芝倉沢を詰めると歩きやすく一瞬ほっとするが、沢を詰めすぎると堅炭尾根への登り口を見失ってしまう罠。「どうせ道はないも同然だ」と腹をくくり、適当な尾根を見定めて直登開始。GPSで位置を確認しながら慎重に進む。
ここからが本当の藪漕ぎ地獄。先頭は胸までの笹をかき分け、後ろはそれに続く。体力を削られないように3人で先頭を交代しながら進む。長袖・手袋でも腕がチクチク。藪漕ぎで腕の疲労、足で熊笹を押さえつけるパワー、水滴でパンツは重くなり、心拍は常に高め。
静かな森の中で、ただ藪をかき分ける音だけが響く。やっと堅炭尾根に乗り上げた瞬間、景色が一変。視界がぐわっと開け、谷川の大きな山体と青空が飛び込んできた。藪の閉塞感から解放され、風が顔をなでる。「気持ちいい」、と稜線を歩く。ここまでの苦労がすべて報われた瞬間だった。
堅炭岩稜線を辿ると岩稜沿いにトレースが見え、気持ちが上がるが油断は禁物。巻道に入ればすぐ藪。結局、腕はさらに疲弊した。それでも「この藪の先に登山道があるはず」と信じて進む。見えてきたあの木、まだ藪。さらに一歩一歩進むと、突然ぱっと開けた。一ノ倉避難小屋の脇に飛び出した! ホッとしたと同時に大きな達成感が胸を満たす。3人でハイタッチしながら、無事に堅炭尾根を登り終えたことを喜び合う。
避難小屋からは谷川岳の両耳へ。整備された登山道に乗った途端、足取りが一気に軽くなる。藪漕ぎがまるで夢のように感じられる快適な稜線歩き。予定ではビバークも覚悟していたが、思いのほか順調で、日が高いうちに下山ルートへ。ロープウェイ駅にたどり着き、山行を終えた。
下山後は温泉に立ち寄り、熱い湯で腕のキズと疲れをほぐす。帰路の車中は、静かな満足感でいっぱいだった。堅炭尾根は体力もルーファイ力も試されるハードなルートだったが、一般登山道では味わえないワイルドさと達成感があり、稜線に立ったときの解放感は特別だった。
写真をクリックするとスライドショーになります。
- 中芝新道入口
- 右岸から取り付く。出だしは踏み跡があったが、すぐに消えた
- 沢から離れないように気を付けながら笹薮を進み、ようやく抜けて沢に戻れた
- 中ほどに見える大岩まで左岸を巻く
- 大岩を過ぎると、沢沿いの登りやすいところを探して進む
- 雪渓が少し残っている
- 沢を離脱して、いよいよ尾根への藪漕ぎが始まる
- メンバーはみな背が高い方だが、笹薮に覆われて前が見えない
- 尾根に出た!
- 不安定な岩場を越え、わずかな踏み跡を辿り、道なき道を藪漕ぎして進むの繰り返し
- 尾根にはわずかな踏み跡もあれば…
- 一ノ倉岳が視界に入ってきた。頂上直下はなだらかで歩き良さそうに見えるが
- 頂上はもうすぐ、しかし笹薮に覆われて先が見えない。GPSで進む方向をロストしないように確認しながら進む
- 一ノ倉岳避難小屋の脇に出た
- 予定より早く着いた。笹薮漕ぎでズボンはびっしょり、腕はパンパン