有明山~餓鬼岳(プチバリ)

ギザギザ岩稜帯をひたすら進む。心なしか雲がおどろおどろしい

山行情報

日時:2025/08/18 ~ 2025/08/20 天候:晴れ、曇り
ランク:C-D-11:00 参加:7名
山行担当:CL3740 SL3005, 3847
記録担当:文責:3934, 3890, 4150 写真: 3740, 3847, 3890, 3934, 4150

コースタイム

1日目
有明山登山口5:41…7:26妙見橋…11:25 有明山奥宮…15:36有明荘(泊地) 歩行時間:8時間6分/休憩時間:1時間46分/合計:9時間52分
2日目
泊地4:59…7:59合戦小屋…10:26燕岳…13:32東沢岳…17:24餓鬼岳小屋(泊地) 歩行時間:10時間30分/休憩時間:1時間55分/合計:12時間25分
3日目
泊地6:01…6:07餓鬼岳…8:58大凪山…10:50最終水場…13:00白沢登山口 歩行時間:5時間30分/休憩時間:1時間28分/合計:6時間58分

コースマップ

記録日:2025/08/18~2025/08/20

山行記

1日目

前泊の穂高荘(宿泊はロッジ)で決起大会をし、いよいよ山行の始まり始まり~。 有明山表参道登山口からスタート。最初から、歩きにくい登山道。3kmすぎからヘルメット着用。落合まで。 

もうなんたって急登!四つん這いになって登るところもあり。それなりの覚悟はしてきたつもりだが、想像以上のキツさ。やっとの思いで有明山神社到着。 

ここにお参りに来るってすごいと思う。荷物をデポして南岳まで行く。北岳、中岳、奥宮、南岳とそれぞれに祠がある。北岳まで戻り、しばし休憩後、有明荘に向かって下山。 

登りが急なら下りも急。何度も何度も心折れる。ポキポキポキポキポッキリと(笑) 。弱音を吐いても嘆いても、自分の足で進むしかない… 。

 みんな頑張って有明荘到着。夕飯は、ポッキリ折れた心を癒すようなディナー。白身魚のムニエルとビーフシチューに赤ワイン付き。そして今日もお風呂に入れる幸せ。ありがとう有明荘。 (文責:3934)



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2日目

2日目。当山行のハイライト、2,000m登る日だ。しかし、初日がすでにメイン感満載だったぞ。さてさて、今日はどんな一日になるんだろう、とワクワクしながら朝を迎えた。 

 5時に有明荘を出て、中房温泉登山口へ。まずは北アルプス三大急登のひとつ、合戦尾根からスタート。昨日と打って変わり、きれいに整備された登山道を歩けるだけで、なんだか夢のよう(笑)。休憩用のベンチも絶妙なタイミングで配置されていて、登山者も多く、にぎわいがある。これぞ夏の北アルプス登山だ。晴天のもとで時折、遠くにくっきり見える槍の姿にほれぼれ見惚れながら、8時ごろには合戦小屋に到着。 

 名物のスイカをみんなでほおばり、笑顔があふれる。周りを見渡すと、みんなスイカを食べていて、幸せそう。ここは北アルプスの軽井沢だな。エネルギーをチャージして、一時間弱で燕山荘に到着。これが、燕山荘か…。何とも優雅な山小屋だ。スイカも燕山荘も初めての私は、一人前の登山者になったような気分。

外のテーブルで20分ほど休憩して、イルカ岩やコマクサの花、餌を食べるイワヒバリの姿などを楽しみながら燕岳へ。穏やかなピークハント。その先の北燕岳からは、先月登った劔岳も望める。心ゆくまで大展望を楽しむ。 

ふと気づくと、いつの間にか私たちの周りには登山者の姿がほとんどなくなっていた。そして、北燕岳をすぎたころ、様相は一変する。東沢乗越の分岐から、いきなり激下りが始まったのだ。乗越のコルまで500m近くの下り。踏み跡は少なく、登山者の姿はわれわれ以外、皆無。足元が見えないぐらい伸びまくった笹、時にはアザミのトゲや樹木の枝がアタックしてくる。しかも夏の強い日差しが天から襲いかかる。なんだ、これは??? このギャップは??? 急にみんな無口になり、とにかくひたすら前に歩を進める。汗が目に入って痛い。 

なんとかコルに辿り着き、ザックをおろして休憩だ。ふと、かたわらの木で作られた道標を見ると、熊がひっかいたような跡がある。そばの樹木には、餓鬼岳小屋の案内がぶら下がっている。そこには、餓鬼のイラストともに「まだまだ先は長い。決して焦るでない」とのメッセージが。おいおい、もう少し優しい言葉をかけてくれよ~、と思いながらも気を引き締めて、東沢岳へ向けて250mの登り返しへ。

これがまた、過酷なコンディションの急登だ。とにかく、無我夢中で登る。これさえ登り切れば尾根を歩ける。そのあとは楽しい歩きが待っている、と信じて、登る。ところが。登り切った東沢岳から先には、今度は岩稜帯のアップダウンの連続が待ち受けていた。ややもすると、ルートを見失いそうだ。

ふと顔をあげると、向こうから一人の男性がトボトボやってくる。北燕岳以降、初めて人間に遭遇だ。話しかけてみると、餓鬼岳に向かったが、崩落地点をトラバースできず、撤退してきたとのこと。同じ話を何度も繰り返す様子から、一人でかなりつらい思いをされたのだろうなぁ、と気の毒になる。彼から崩落地の写真を見せてもらい、ロープを出すケースも想定して先に進む。 

1時間ほどで、くだんの崩落地に到着。CL、SLが状況を確認してくれ、ロープ不要との判断。なにごともなく無事にトラバースし、先に進む。最後のポイント、剣ズリをこえた時点で、すでに歩き出してから11時間半が経過。疲れもマックス、でもまだ小屋は遥か彼方だ。と思いきや、稜線の先に人の姿らしきものが。おお、あそこが小屋でなくてどうする、と気持ちを奮い立たせて先に進む。 

餓鬼岳小屋に着いたのは、結局予定よりも1時間以上遅れの17時半前。ザックをおろし、みんなでハイタッチ。無事に歩き切ったね!!!ひとりじゃ、絶対にここまで歩けなかった。いっしょに歩いてくれたみんなにありがとう、と心の中でつぶやいた。(文責:3890)



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3日目

出発前に、小屋の上の展望テラスにてみんなで体操する。いい天気。360度、山の景色が素晴らしい。こんな景色で体操するなんて初めて。1時間かけて、餓鬼岳山頂とその先の展望台までピストン。空、雲、山がきれい。 

餓鬼岳小屋から信濃大町の白沢登山口までは5時間のコース。急斜面を1,200m下り、その後沢を400m下る。急斜面は初日の有明山に比べると全然マシなのだが、脚に疲れが溜まってきてるので慎重に下りる。急斜面が終わるあたりで、2時間半後にタクシーの手配をする。 

沢区間に入って最初のポイントである魚止めの滝まで、直線距離300m弱、高低差80mなのだが、渡渉と高巻きの連続で50分かかった。これは、タクシーの時間が厳しいかと心配になる。しかし、その後はトラバース道と沢をへつるように設置されてる木道の連続で、最初の区間より歩きやすく、沢の区間は2時間で終了。水分補給したり荷物整理してる間にタクシーが到着した。なお、沢区間には合計6ヶ所水場があり、飲んだりかぶったりして生き返った。 

大町で温泉に入り、温泉場の事務の方に教わったお店にて怪我なく無事完了したことに祝杯をあげ、互いの健闘を称え合った。楽しい下山ルートだった。 (文責:4150) 

【CL追記】 

このルートは全員初めて。事前にYouTube、山アプリの山行記を探してみたが、まったく同じものを見つけることはできなかった。もちろん当会でも初めてらしい。 

初日の有明山も、思いのほかタフなルート。ハイライトは2日目の中房温泉~餓鬼岳までの12km、登り2,000m。その2日目の東沢岳~剣ズリ間で崩落情報、途中撤退!も脳裏をかすめたが、現場ではロープを出すこともなく通過することができた。 

3日間で約30km。登り約3,900m 、下り約3,700m! 全員が最終日の白沢登山口まで歩ききることができ、自信になったのではないかと思う。 

岩稜歩き、ヤブ漕ぎ、渡渉、そして一般登山道、バラエティーに富んだルート。幸い天気にも恵まれ、北アルプスの景色を十分に堪能することができた山行であった。 



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