夏山テントⅢ・薬師岳/黒部五郎岳/双六岳(夏山定例)

日の出。絶景すぎて歩みが進まない

山行情報

日時:2025/08/29 ~ 2025/08/31 天候:快晴
ランク:C-D-10:00 参加:7名
山行担当:CL3840 SL3835, 3887
記録担当:文責:4036, 4168, 3961 写真:3840, 4036

コースタイム

1日目
折立7:25…10:12五光ベンチ…10:54太郎平小屋…12:43薬師岳…15:35太郎平小屋(泊) 行動時間:8時間10分
2日目
泊地3:07…4:32北ノ俣岳…5:35赤木岳…6:19中俣乗越…8:00黒部五郎岳…10:06黒部五郎小舎…12:53三俣山荘テンバ…15:22鷲羽岳…16:30三俣山荘テンバ (泊) 行動時間:13時間30分
3日目
泊地3:35…4:36三俣蓮華岳…4:55丸山…5:39双六岳…6:40双六小屋…7:44弓折乗越…8:15鏡平山荘…11:15わさび平小屋…11:40笠新道登山口…12:35新穂高ロープウェイ 行動時間:9時間01分

コースマップ

記録日:2025/08/29~2025/08/31

山行記

1日目~ドキドキとワクワクの縦走の始まり

裏銀座側の縦走は、地図を広げて眺めるだけでなかなか実行できずにいたので、今回の盛りだくさんな2泊3日は、今夏の私の楽しみな山行のひとつであった。だが、初日テント泊を予定していた薬師峠が熊被害により閉鎖。山行が催行できるか心配であったが、小屋泊への変更、熊スプレーやヘルメット着用などCL、SLが対策を講じてくれたおかげで無事、初日を迎えることができた。

集合の富山駅からタクシーで折立に着いたころには雲間から青空がのぞき、天候が予報どおり好転であると確信。なだらかな道を進むと、あっという間に宿に到着。これが評判の太郎平小屋か。サブザックを背負い、ここから本日の目玉「薬師岳」へ!

富山駅まで夜行バスで来た私は、このころ睡魔に襲われかけたのだが、目の前の優美でずっしりと重量感のある山容に胸キュン♡薬師岳カッコイイー♡

太郎平小屋を出ると、いったん薬師テント場まで下る。熊の出たところだ。緊張が走るが、無事通過。その後、薬師平へ。ここからは、森林限界を越えた薬師の稜線上の歩きとなる。実に気持ちいい。登るにつれ、水晶や鷲羽の姿が目に飛び込む。絶景を前に写真を撮ることで忙しい。でも、せっかくここまで来たので、撮らずにはいられない。

山頂からは、明日から行くであろう山々がはるか遠くまで見渡せ、これからどんな歩きが続いていくのか想像するだけで楽しい。小屋は水量豊富で、夕食のときは皆と数時間外にいたが、暖気の影響かそれほど寒くはない。夕日が綺麗で、薬師岳が染まっていた。(文責:4036)



写真をクリックするとスライドショーになります。

2日目~森林限界を越えた快適な歩きに心が躍る

いつかはテントを背負い日本アルプスを縦走したい、という想いがあった。そのために登山の知識と経験が必要と考え、みろく山の会に入会した。座学で登山の基本知識を学び、山行に参加して少しずつ体力をつけた。今回参加が叶った夏山テント泊・大パノラマ縦走は、自分にとっての一大イベントである。

2時15分に起床し、3時に黒部五郎岳に向けて太郎平小屋を出発。満天の星空。8月でもオリオン座が東の空に見えることに驚く。右手には、はるか遠くに富山平野の夜景が見える。4時すぎから東の空が白み始める。黎明の空の色と裏銀座の黒い山並みのコントラストが実に美しい。槍ヶ岳の穂先もはっきり見える。日の出に近い5時ごろには空全体が明るくなり、南に乗鞍岳、御岳山の青い山並みが見え始める。早朝の森林限界を越えた稜線歩きは、刻々と変わるパノラマの景色を楽しむことができる絶好の機会であることがわかった。

日の出後の登山道で、メスのライチョウに出会った。4~5メートルしか離れておらず、こちらを見ているが逃げる様子もない。低い音の鳴き声も聞くことができた。8時ごろに黒部五郎岳山頂に到着。目の前には最後の秘境と呼ばれる雲ノ平の全景と雲ノ平山荘が見え、振り返ると今朝歩いて来た北ノ俣岳、赤木岳、中俣乗越のなだらかな稜線が美しい。雲ノ平には、いつか行ってみたい。

黒部五郎岳山頂から黒部五郎小舎に向けてカールの中を歩く。快晴の青空、白い岩肌、高山植物の緑の景色は絵葉書のようだ。思わず写真を撮る。10時半ごろに黒部五郎小舎で小休憩し、2日目の宿泊地である三俣山荘をめざして出発。快晴の空は日差しが強いが、風は涼しく汗が引いていく。13時ごろ、三俣山荘のテント場に到着。テント設営後も日没まで時間があったため、鷲羽岳に登る。15時20分ごろ山頂に到着。槍ヶ岳北鎌尾根の険しい山並みがとても雄大だ。

翌日も出発時間が早いため、下山後は早々に夕食をいただき、19時前には各自テントに戻って就寝。2日目の山行は、出発時から続くパノラマの景色の中を快適な歩きで楽しむことができた。

歩きに関しては、これまでテント泊装備を背負っての長期縦走の経験がなく、途中でバテないか不安だった。しかし、CL、SLが歩行スピードを敢えて抑えて、重いザックを背負いながらも長時間歩けるペースを作ってくれたため、歩き切ることができた。CL、SLに感謝申し上げたい。(文責:4168)



写真をクリックするとスライドショーになります。

3日目~遂に最終日、山行を振り返って

山行最終日、集合時間3時30分。まずは三俣蓮華岳に登頂。まだ真っ暗な中、ガスがかかり双六岳への登山道の取り付きがわかりづらい。今日の天気はどうかな?5時19分、日の出。ガスが取れてきた。双六岳の山頂には沢山の人影。私たちも山頂へと急ぐと、双六岳山頂は青空。眼前の槍様がくっきり。西穂から槍ヶ岳までの縦走路が目に飛び込んでくる。期待通りの「天空の滑走路」。昨日歩いた黒部五郎岳も見える。そして360度の大展望。私たち、持っているね。皆、笑顔がこぼれる。

満足した双六岳山頂のあとは双六小屋で一息つき、弓折乗越を超えて鏡平山荘へ一気に下る。この間も終始、槍ヶ岳を見ながらの歩きとなる。雲一つない青空のもと、小池新道を登ってくる人は多く、すれ違いに時間がかかる。このころになると、朝露を含んだテントの重みでザックが肩に食い込んでくる。

ワサビ平小屋で、冷たい飲み物でのどを潤す。あとは林道を歩いて新穂高。しかし、陽が高くなると暑くて足もつらい林道歩きになる。冷気の出ている風穴がありがたかった。新穂高ロープーウェイバス停近くの温泉でさっぱりした後にバスに乗り込む。

山行を終えて。まずは、山行中の熊対策としてパーティーを分けない。ヘルメットをかぶる。熊スプレーをSLが持参。熊ベルをCL、SLが持つ。1泊目は小屋泊などを考えて山行をやり遂げてくださったCL、SLに感謝したい。SLのTさん、要所ではスプレーの安全装置を外して右手に持っていた。山行中、すれ違う人に常に声をかけ、行く先の様子をリサーチしていたCL。SLのKさんは、最後尾を歩いて皆の様子を気にかけてくれた。リーダーの方々のチームワークも素晴らしかった。

2泊3日でタイトであったにもかかわらず、超つわものたちにより時間厳守で山行は遂行された。3日間天気に恵まれ、毎日絶景に巡り合え、辛いはずのテント泊も大満足の山行となった。 (文責:3961)

【CL追記】

森林限界を越えたアルプスの稜線を、テントで歩く山行をやってみようと考えていたところ、一緒に組んだSLから薬師に行きたいと。それじゃあ、今回のルートが最適と直感的に思った。しかも鎖場や梯子などもなく、アルプスの中では比較的嬉しいコースだ。皆さんに楽しんでもらえるのではないかと企画。

ところが、ところが。山行前に雨でルート上の橋が流され、万事休す。でも小屋関係者の尽力で何とか復旧、ほっと胸を撫でおろす。と思ったら、山行直前でテン泊予定であった薬師峠のテント場で、熊がテントを荒らすという衝撃的なニュースが飛び込む。これには正直参った。まずはテン泊を辞め、太郎平小屋に直ぐに予約を入れる。その後、日々ネットを確認したり、山小屋に電話をして熊の出没状況を確認。その他含めて山行を一緒にする仲間への情報展開、共有など、いつにもなく慌ただしい山行前の日を送った。それでも辞退者を出してしまった。

そうして迎えた山行当日、気持ち的に正直、少し疲れもあった。今回の山行は日程、行程も長く、熊出没などへの対策、警戒など、ほんといろいろ大変だった。でも、天気は抜群。3日間通して午後も含めて快晴。北アルプスの大パノラマを堪能。一緒に歩いたメンバーも気心知れた仲間ばかり。助けてもらった。ご褒美のような山行だった。今回も山と仲間に感謝だ。



写真をクリックするとスライドショーになります。