海谷三山・雨飾山(プチバリ)

鋸岳直下、ほぼ露岩の山肌を下る。開放感抜群で見た目以上にスリリング!

山行情報

日時:2025/10/23 ~ 2025/10/25 天候:晴れ/晴れ/晴れ
ランク:C-C-10:00 参加:9名
山行担当:CL3950 SL3418, 3847
記録担当:文責:3890, 3977, 3999 写真:3418, 3740, 3762, 3847, 3999

コースタイム

1日目
海老名駅西口ロータリ7:40≡14:59フォッサマグナパーク15:26≡15:30渡辺酒造店豊穣蔵15:40≡16:35雨飾山荘キャンプ場(泊)
2日目
泊地5:30≡5:47駒ヶ岳登山口(根地コース)…6:28能登見台…7:25バンド…7:38すくみのテラス…8:17駒ヶ岳8:30…9:05駒ヶ岳東峰…10:29鬼ヶ面山(北峰)10:40…10:56鬼ヶ面山(南峰)11:02…11:58鋸岳大キレット…13:08鋸岳14:03…14:41雨飾温泉分岐…15:56鋸岳登山口…16:00雨飾山荘キャンプ場(泊) 歩行時間:8時間32分/休憩時間:1時間37分/合計:10時間9分
3日目
泊地5:40…5:41雨飾山登山口…6:59一ぷく処…7:38中ノ池…8:22薬師尾根分岐…8:39雨飾山9:15…9:30薬師尾根分岐9:43…10:20中ノ池…11:04一ぷく処…12:00雨飾山登山口…12:01雨飾山荘キャンプ場 歩行時間:5時間17分/休憩時間:1時間8分/合計:6時間25分
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コースマップ

記録日:2025/10/24~2025/10/25

山行記

1日目: 海老名駅~雨飾山荘キャンプ場

今回の山行は、待ち望んでいた新潟・海谷三山。テント泊だし、寒さ対策をどうすればいいのか、経験の浅い私は妄想のもとに用意するしかない。幸い、三台の車出しをしていただき、参加者は全員で9名、ということで少し多い荷物も許されるね、なんて自分を甘やかして準備を終える。

当日、海老名駅西口で7時半に集合し、一路、新潟を目ざす。太平洋側はくすぶったお天気なのに、こちらはどんどんお天気が好転していく。明日への期待も膨らんでいく。安曇野ICで降りて、まずは楽しみにしていた新そばのランチを大町市美麻にある「手打ちそば美郷」で。薫り高いおそばにみんな無言で舌鼓。お店の周りを見渡すと一面、そば畑。そして古そうな水車がひとつ。なんだか懐かしい風景に、思い切り癒される。

食事後、コンビニに食糧などを調達にいくも、おにぎりやサンドイッチなど日ごろお世話になっている棚がからっぽ!!! 「コンビニで調達」という甘い誘惑の一言にすっかり頼り切ってしまい、食糧は最低限しか持参してきていない。今日の夕食、どうする???しかし、表情をこわばらせているのは私だけではなかった。 そんな参加者の様子を見て、SLが手早く別のコンビニに電話を入れて、入荷状況をチェック。糸魚川方面に移動し、無事、調達完了。

少し時間があるので、フォッサマグナパークに立ち寄り、糸魚川静岡構造線の断層をこの目で確かめる。そのあと、根知川をはさんでパークの対岸にある渡辺酒造店豊穣蔵で、利き酒ならぬ、酒蔵の地下を走る断層の東と西の利き水を体験。

テント場に向かう前に明日の登山口までのルートや駐車場の状況などを確認した後、二日間、お世話になる雨飾温泉雨飾山荘へ。受付を済ませ、みんなで手分けして3張りのテントをセット。この宿、とても親切でトイレもお風呂も宿泊者と同様に使用が可能。露天風呂もある。さらには、館内の談話室を使わせてくれた。夜は一気に気温が下がる環境のもと、明るい部屋の中でみんなでゆっくりと食事を楽しめるなんてとてもありがたい。心配していた寒さも回避できて、明日への期待が高まる前夜を過ごし、テントに入ったと思いきや、「おやすみなさい」の一言を発する前に瞬寝。(文責:3890)



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2日目:海谷三山(駒ヶ岳・鬼ヶ面山・鋸岳)

15年近く前のGWに海谷山塊に行った。雪に覆われた海谷高地に幕営3泊し、阿弥陀山へ、鬼ヶ面山手前から駒ヶ岳までと山を楽しんだ。沢を流れくだる豊かな雪解け水。岩稜帯はハラハラしたけれど、静かな満たされた時間の記憶だ。是非もう1度行きたい…。会山行となったのを知り、これはもう何としても行きたい!と切に思った。今回は駒ヶ岳から鋸岳まで三山の縦走ルートで、しかも季節は秋。前とは違うけれど、自分の中で何かが繋がり、未完の1つが完結するように感じた。

朝5時に山荘駐車場に集合し、車2台に分乗して駒ヶ岳登山口に向かった。登山口駐車場の手前は傾斜も強く、車輪が空転した。それをものともしないハンドルさばきのKさん、実に見事。薄明りの中で装備を整えて、ヘッデンなしでのスタートだ。時間の読みも完璧でCLに脱帽。ここからのルートは根知コースというのだそうだ。

まずは広葉樹の樹林帯の中を進んでいく。駒清水を過ぎるあたりから徐々に傾斜を増し、展望のいいところが出てきた。CLが大きく見える山を指して、あれが明星山と教えてくれた。明日、会の仲間が登攀する山だ。成功を願う。

岩の間を通過してさらに進んでいくと、大岩壁が目の前に現れた。圧巻。さすがにこれは登れないよね。そんなことを語り合いながら、岩が大きくかぶっている基部をやや巻くように斜上した。すくみのテラスで記念撮影。高度感に足が竦む。落ちたら“さようなら”だ。雲のない真っ青な空に北アルプス連峰がはっきりと見えていた。

海谷ルートと合流すると駒ヶ岳頂上だ。小休止ののち、東峰を経て鬼ヶ面山に向かう。このあたりから、よりスリリングになっていったように思う。残置のロープと鎖、スリリングな岩の上り下り、踏み跡道の右は低木たちで隠れているがスパッと切れ落ちた断崖だ。落ちたらやばい。

鬼ヶ面山は、まずは北峰。急登のピークを踏んだらピストンで戻るという。CLに「じゃあここで待っています」と言ったら即刻却下。でもピークに行けるとやっぱり楽しい。行ってよかった。南峰のピークハントをしてからいったん途中まで戻り、縦走路に入った。やがて急壁に掛けられた長い長い梯子が見えてきた。まずはやや新しげな数段の銀色梯子。それに古い梯子がいくつだろう?繋がって上まで伸びていた。落ちたら大変だ。1人1人、慎重に上った。

このあとも気の抜けない稜線を進んで、道はなだらかとなり鋸岳山頂となった。1,631m。海谷で一番高いピークからは、眼下に雨飾山荘の赤い屋根も見える。先が見えてきたなあ。来た道を振り返ると、これから下る稜線の下降ルートが長く続いていた。メンバーのひとりが、先行する2人パーティーの苦労している姿を見たそうだ。気を引き締める。

行ってみると古びたロープが2、3本ずつまとまって次々と続いている。それらを使いながら丁寧に下りていき、途中、懸垂下降の練習ということで、一番安全そうな残置ロープ1本を選んでワンピッチだけ下りた。ロープが固すぎて屈曲しないので、確保器に入れるのに苦労した。そのあとはほぼ普通の道だが、途中1,100mあたりの、高度が下がらないトラバース道が長かった。やっと下り始めて鋸山登山口。そこから数分で山荘だった。

ハラハラしたけれど、大変さはすべて消え爽快感が残った。行けてよかった!(文責:3977)



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3日目:雨飾山

2泊目テントの夜。星に心を洗われて、2人部屋の温もりの中で眠り目覚めた。前日のプチバリルートとは違って、今日はそれほど危ないところがない一般ルート。百名山、土曜日で人出が多い見込み。

とはいえ、楽な訳ではない。雨飾山の頂上まで約1,000m。ひたすら登り。結構土の削れた根っ子をハイステップで登るのは必死な思い。岩を持って、コレもハイステップでよじ登る。濡れて木の葉の積もる狭いトラバース道もズルズルと滑りそうで怖い。標高はグングンがる。ときどき視界が開けると見事な紅葉の山、黒ぐろと連なる山並み、日本海側の街、青い空が素晴らしい。

頂上に近づくにつれて空気が冷たくなり、氷や霜が地面にチラホラ。上着を重ねて、百名山ならではのすれ違いの人混みを登る。お祭り騒ぎ。頂上は風が強く寒い。ガスで視界ゼロ。残念ではあるけれど、登ってきた間はずっと綺麗だったので悔しくない!

出発寸前までの不安、私は本来このメンバーで登る資格があるのだろうか?という疑心暗鬼も忘れて感謝でいっぱい。(文責:3999)

【CL追記】

快晴の秋空の下、紅葉を愛でながら海谷三山を縦走することができた。参加者の足並みが揃い、無数にあるフィックスロープや長いハシゴも無難にこなして、CL冥利に尽きる。昨年秋の下見の際は、海谷溪谷に下りて一層のワイルド感があったが、今回は雨飾山荘の温泉付き。甲乙はつけ難い。海谷縦走の間、終始その優美な山容を見せていた雨飾山はさすが百名山。登山者の数が半端でない。静かな時期を狙って、また登ってみようと決意した。



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